米国FCCアマチュア無線免許は、ボランティア試験官によって、資格試験が実施される。日本のアマチュア無線制度と異なり、米国の3つの資格(テクニシャン級、ゼネラル級、エキストラ級)をひとつずつ受験・合格してゆく必要がある。日本では、その気になれば4級も3級も2級もすっ飛ばして1級から受験できるのとは大きく異なる。
なお、半日程度のボランティア試験において、これら3つの級を一気に受験・合格することも可能だ。その場合でも、受験料金は1回分のUS$15で済んでしまう。日本の国家試験が天下り団体に、4級4950円、3級5200円、2級7462円、1級8962円とボッタクラレルのとはだいぶ異なる。
しかも、このボランティア試験や試験官は、国籍も開催国も問わない。日本でも、日本人ボランティア試験官により、日本各地で試験が実施されている。
ただ、資格取得者に注意してもらいたいのは、その米国免許をベースに欧州CEPT加盟国や、あるいは南北アメリカ大陸CITEL(Inter-American Telecommunication
Commission)加盟国なら、相互運用協定のもとで自由にアマチュア無線運用ができると勘違いしてはダメだ、ということである。
米国は、これら海外との相互運用協定が有効なのは、米国市民権を有する有資格者だけだとPublic
Noticeで規定しているからだ。2016年9月16日付けでアップデートされたDA 16-1048 は次のURLよりダウンロード可能だ。
南北アメリカ大陸CITEL加盟国間の相互運用協定IARPについては、次のURLを参照のこと。
http://www.arrl.org/iarp
次のURLにある、ARRLが発行した米国免許での海外運用になする資料も有用だ。
http://www.arrl.org/files/file/Regulatory/October%202017%20International%20Operating.pdf
次のURLにある、ARRLが発行した米国免許での海外運用になする資料も有用だ。
http://www.arrl.org/files/file/Regulatory/October%202017%20International%20Operating.pdf
これに対して、たとえば欧州CEPT側は、国籍にこだわったルールは明文化されておらず、国によって米国側の意向を尊重して、米国市民権がなければダメと言ってくるケースもあれば、CEPT側は気にしないと言ってくるケースもある。ただ、DXCCのことを考えたりすると、米国側の意向を無視するのは、たとえCEPT側が気にしないと言ってきたケースでも手放しでは喜べないかもしれない。
欧州CEPT側の相互運用協定には、短期滞在者向けに事前手続き等不要でF/JQ2GYUのようなスタイルで90日以内の運用を認めるT/R 61-01と、長期滞在者向けに加盟国のアマチュア無線資格を自国の資格に読み替えて無線局開設を認めるT/R 61-02のふたつがある。
前者が、いわばアマチュア無線「局」の相互運用を認める協定で、後者がアマチュア無線「従事者資格」の相互承認をする協定だ、と考えると理解しやすいかもしれない。
ちなみに、米国はCEPTでも前者の短期滞在向けT/R 61-01にのみ加盟しており、日本は1アマのみが対象だが長期滞在向けT/R 61-02にのみ加盟している。
日米間の相互運用協定が、ちょうどこの関係を物語っていて面白い。すなわち、日本のアマチュアが米国領内で運用する場合は、一切の事前手続きなしに、W6/JQ2GYU形式で運用できるが、米国のアマチュアが日本で運用する場合は、私達と同じように開局申請をして日本のコールサインを取得しなければならないのも、CEPTとの関係から眺めると、なるほどと理解できるのだ。
相互運用協定の話で、近年新しい話として、インターネット等を介して遠隔地の無線局を操作するリモート運用のスタイルに適用されるのか否か、という議論がある。
たとえば日本から米国内に設置された無線局をリモートで運用する際に、日本のアマチュア無線局しか有さない運用者は、日米間の相互運用協定に基づくW6/JQ2GYUスタイルで運用できるかというと、実はダメなのである。米国領内にある無線局を、米国外からリモート運用するのには、米国免許を有する必要がある、というルールになっているのだ。これは、米国QST誌2015年4月号のK1ZZからのアナウンスなどが参考になる。
このリモート運用のルールは、欧州CEPT側も同様の考え方だとのことだ。相互運用協定は、その国を「VISIT(訪問)」した人に対する協定であり、リモート運用は「VISIT(訪問)」していないから、適用されない、という見解だという。
以上のように、国際間のアマチュア無線相互運用協定には、意外と日本では知られていないことが結構あることに気付く。海外旅行先でアマチュア無線を楽しもうという方は、事前にかなり詳細に調査して行なうようにしたいものだ。
次のURLも併せてご覧いただければ幸いだ。
欧州CEPTと日本の相互運用協定の解説
日本の総務省が自国民に、海外資格を根拠に日本の無線局免許を与える理由
アメリカの相互運用協定はアマチュアの無線の免許は従事者免許と局免許がひとつになった包括免許を想定しているので混乱がありますね、例えば日本で固定局、移動しない局として局の免許をされている場合は免許の住所以外のところで送信できないので、アメリカでの運用を含めてできなくなりますね。 アメリカではITU 1,2,3別、場所、モード、使用用途などによって周波数、出力が制限されるので、免許にはXXクラスと載っているだけで、出力などの詳細はルール書(FCC Parts 97)に書いてあり、免許証自体にはかいてありませんね。
返信削除日本の移動しない局免許の制約は日本国内のみに適用されます。日米間の相互運用協定では、その日本の免許内容をベースに、米国内での運用を許可する制度であるため、日本の免許が移動しない局だから、米国で運用できない、という日本の法律解釈にはならないのだそうです。あくまでも米国の法律解釈の中で、日本の免許の、運用周波数や出力などが参照されるだけだそうです。
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