2020年2月29日土曜日

外資系日本法人との付き合い方

日本の大手電線メーカーに11年間、その後、米国IT系通信機器メーカーの日本法人に、スタート直後から22年間勤務した。その米国通信機器メーカーは、参画当時、全世界でも千数百人、日本法人は10名しかいない、まだまだベンチャー色が残る企業だった。その米国通信機器メーカーを退職し、現在は、米国IT系の光通信機器部品メーカーの日本法人立ち上げに携わっている。同時に、ドイツ系の映像機器・ケーブルベンダーの日本法人でもビジネス統轄を担い、欧米の外資系2社を同時に切り盛りしている身だ。

以上のように、いわゆる外資系のスタートアップ日本法人に27年間も携わってきた経験から、普通の日本企業に勤めている方々に対し、そうした外資系IT関連企業の日本法人との付き合い方について、ちょっとだけ役に立つかもしれないことを、少し書いておこうと思う。

(1) 外資系IT関連企業日本法人の日本人社員を日本人と思わない方が良い。
  日本語の上手な外国人だと思って接する方が無難である。
(2) 電話はしない方が良い。
  電話で仕事をする習慣がないので、たとえつながってもメールしておいてください、といわれるだけになる。
  日本人特有の、話をしながらムードで何かを伝えようとする、悪い言い方をすれば、ともすればとりとめのない話を進めていって、最後に何となく、あとはよろしく的なバーバルコミュニケーションに不慣れなので、結局何も伝わらない。
  チームで仕事をするという習慣がないだけでなく、日本企業と比較したら殺人的に少人数で広い分野を担当するのが常であるため、会社の代表などに電話をしても、なかなか本人に伝わらない。伝わっても、ついつい後回しにされる。
  本人の携帯電話を知っている場合でも、気をつけないと相手は海外出張中で、時差の関係で貴方の電話は現地の夜中に叩き起こす電話になりかねない。
(3) Emailで何かを伝えるときは箇条書きにする。
  ひとつのことを伝えるのであれば良いが、ふたつ以上の依頼や質問は、冒頭に番号を振った箇条書きにしないと、ふたつ目以降は目を通してもらえないケースが頻発する。ひとつ目の回答なり処理なりの対応を始めてしまい、ふたつ目以降を読むのをすっかり忘れてしまうからだ。
(4) 午前中のミーティングは出来れば避けた方が安全。
  海外との電話会議やチャットなどで、夜中や明け方に仕事をしているケースが少なくないので、午前中はあまり使い物にならないかもしれないと知っておくとよい。
(5) 日本の普通の企業と比べると、はるかに少人数で仕事をこなすのが外資系IT企業の常であるため、何かを依頼する前に一定レベルの事前調査を行なった上でお願いした方が、優先的に進めてもらえる可能性が高まる。
  外資系IT関連日本法人では、課長どころか部長クラスまでもが、普通の日本企業だったらアシスタントがやるような仕事まで、全部一気通貫で一人でこなしているケースがほとんど。そのため、部長クラスに「丸投げ」しても、その管理職がアシスタントや部下にやらせるだろうと思って依頼したことでも、その管理職が全部やらなければならず、どうしてもキューに入ってしまい、結果的に後回しにされないとも限らないのだ。
(6) オフィスに出社しているとは限らない。
  日本ではウイルスが蔓延したりパンデミックでも起こさない限り無縁なテレワークが、外資系IT企業では常識。海外出張中でも日本の仕事ができるようにするためや、夜中のテレビ会議に自宅から参加できるようにするため、テレワークの方が基本になっていたりする。
  そのため、「オフィスにご挨拶に伺いたいのですが?」「明日はオフィスにいらっしゃいますか?」という依頼に対して、そのためにだけオフィスに出社してくることになるかもしれない、ということをどこかで記憶しておいても良いと思う。
  外資系日本法人の人も、面談そのものは決して嫌いなわけではない。かえって好きなくらいだと思ってもよいだろう。なので面談をする場合は、そこで何を議論するのかを前もってEmail等で知らせておき、必要なことは事前に調べてから面談に臨めるようにしてあげるのがコツになるだろう。

この辺りのコツをつかめば、外資系IT企業日本法人を上手に使いこなすことが出来るようになると思う。

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